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インドと米国を拠点とする市場調査およびコンサルティング会社のGrand View Researchによると、世界のB2B ECの市場規模は、2022年に7兆9,070億7千万米ドルと推定され、2023年から2030年にかけて年間平均成長率 (CAGR)20.2%で成長すると予測されています。
The global business-to-business e-commerce market size was valued at USD 7,907.07 billion in 2022 and is projected to grow at a Compound Annual Growth Rate (CAGR) of 20.2% from 2023 to 2030.
Business-to-Business E-commerce Market Size, Share & Trends Analysis Report, By Deployment Type (Intermediary-oriented, Supplier-oriented), By Application, By Region, And Segment Forecasts, 2023 – 2030
また、世界最大級のネット通販業界の専門誌であるDigital Commerce 360によると、世界のB2Bマーケットプレイスの市場規模は、2022年に89億1,000万米ドル、2023年には100億9,000万米ドルと推定され、年間平均成長率(CAGR)12.06%で成長し、2030年までに221億8,000万米ドルに達すると予測されています。
The Global B2B eCommerce Platform Market size was estimated at USD 8.91 billion in 2022, USD 10.09 billion in 2023, and is projected to grow at a Compound Annual Growth Rate (CAGR) of 12.06% to reach USD 22.18 billion by 2030.
Global B2B eCommerce Platform Market by Type, Deployment Type, Application, Industry – Cumulative Impact of COVID-19, Russia Ukraine Conflict, and High Inflation – Forecast 2023-2030
このように、世界ではB2Bマーケットプレイスの市場規模は拡大しており、多くの企業がB2Bマーケットプレイスに参入をしています。
今回は、B2Bマーケットプレイスについて見ていきます。
目次
マーケットプレイスとは
マーケットプレイスは、BtoBtoCやBtoBtoBで取引が行われるインターネット上の取引サイトで、ECモールとも呼ばれます。
CtoCの消費者同士がインターネット上で売り手と買い手となるマーケットプレイスとしては、ヤフオクなどのオンラインオークションやメルカリなどのフリマアプリが有名ですが、BtoC向けとしては楽天市場やAmazon マーケットプレイス、Yahoo!ショッピングなどが代表的なものとしてあげられます。
このように、マーケットプレイスでは、BtoC ECやBtoB ECとは異なり、以下の3つの関係者が存在します。
- マーケットプレイスを運営する企業
- 出品者
- 購入者
また、大きく分けて、Amazon マーケットプレイスのような「商品出品型マーケットプレイス」と、楽天市場やYahoo!ショッピングのような「店舗出品型マーケットプレイス」に分けられます。
B2Bにもマーケットプレイスの波がきている
最初に記載をしたように、近年、B2Bマーケットプレイスにも注目が集まっています。
B2Bマーケットプレイスとしては、アメリカのAmazon Businessと中国のAlibaba Groupsが、世界のマーケットプレイスとして多くの法人企業が利用していますが、日本のB2Bマーケットプレイスとしては、アスクルやモノタロウ、たのめーるプラスなどがあります。
B2Bマーケットプレイスの利用が増えているのは、サプライヤー企業が個別に用意をするB2B ECと比較するとバイヤー企業、サプライヤー企業の双方に以下のメリットがあるからです。
- バイヤー企業は、個々のサプライヤー企業に連絡するのに時間を費やすよりも、マーケットプレイスで商品と価格を比較する方が便利。
- バイヤー企業は、マーケットプレイスが承認したサプライヤー企業とだけ取引するため、一定レベルの安心感が得られる。
- サプライヤー企業は、自社の商品に関連するバイヤー企業に対して、接触する機会を得ることができる。
そのため現在は、Amazon Businessやアスクルなどの一般消費財などを販売するB2Bマーケットプレイスが目立っていますが、今後はもっと幅広い領域でB2Bマーケットプレイスが増えてくるでしょう。
B2Bマーケットプレイス企業の大型調達が続いている
世界ではB2Bマーケットプレイスの成長を受けて、大型の調達が続いています。
インドを拠点に製造業やインフラ企業向けの受発注プラットフォームを提供しているZetwerk Manufacturingは、2021年8月のシリーズEで1.5億ドルを調達してユニコーン企業となり、その後もVCから6,640万ドル、シリーズFで2.1億ドル、デットで1,220万ドルと、現時点でトータル6.12億ドルを調達しています。
Zetwerk Manufacturing has raised $150 million in funding at a valuation of $1.33 billion, making the contract manufacturer the 25th Indian startup to achieve unicorn status this year.
ETtech Deals Digest: Zetwerk turns unicorn, Khatabook gets $100-million funding
小売店、セレクトショップ、ブティック、デザイナーなどの小規模な小売業者向けの卸売オンラインマーケットプレイスのFaireは、Seedラウンドで$550kを調達した後、シリーズEでは1.7億ドルを調達し、その後シリーズFで2.6億ドル、シリーズGで4億ドル、さらに2022年には4.16億ドルと、現時点で15億ドルを調達しています。
オンライン・ホールセール(卸売)・マーケットプレイスである「Faire」が、セコイア・キャピタルが主導する1億7000万ドルのシリーズEラウンドを完了した。これにより同社の評価額は、これまでの2倍以上となる25億ドルに達した。
Forbes Japan:需要増で評価も上昇、卸売マーケットプレイスの「Faire」
オンライン上で中小企業同士が製品を売買することができるマーケットプレイスのUdaanは、2021年1月にシリーズDで2.8億ドルを調達した後、借入や有償新株予約権などで、現時点で15億ドルを調達しています。
The investment values the e-commerce firm at over $3 billion, topping the $2.8 billion which it commanded post the last fund-raise of a chunky $585 million in October 2019. After this new addition, the overall funding raised by Udaan to date now stands around $1.15 billion.
ETBFSI.com:Udaan raises $280 million in series D round; valuation cross $3 bn
他にも、製造部門のB2BマーケットプレイスのMoglixや、既にIPOをしたB2BマーケットプレイスのIndiaMARTなど、数多くのB2Bマーケットプレイス関連の企業が調達を行なっています。
日本国内のB2Bマーケットプレイスへの出資状況
日本国内でも金属加工品の受発注プラットフォームを運営するキャディが、シリーズBで80.3億円、シリーズCで118億円の調達をしています。
キャディ株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役:加藤勇志郎)は、シリーズBラウンドで総額80.3億円の資金調達を実施したことを発表します。
キャディ、総額80.3億円のシリーズB資金調達を実施
製造業サプライチェーンの変革に挑むキャディ株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役:加藤 勇志郎)は、シリーズCラウンドにて既存投資家であるグロービス・キャピタル・パートナーズ、DCM Ventures、グローバル・ブレイン、WiL、ジャフコ グループ、Minerva Growth Partnersを中心に、他投資家4社を引受先として総額118億円の資金調達を実施いたしました。今回の増資により、累計調達額は217.3億円となりました。
製造業サプライチェーンの変革に挑むキャディ 総額118億円のシリーズC資金調達を実施 モノづくり×テクノロジーによるサプライチェーン変革の実現を目指す
また、小売店・ブランド向けB2Bマーケットプレイスを提供するhomulaは、第三者割当増資により累計3.2億円の調達を行なっています。
B2Bマーケットプレイスを成功させるには
このように今後、様々なB2Bマーケットプレイスが出てくると思われますが、B2Bマーケットプレイスを構築する上で重要になるのは、BtoB ECでも挙げていた以下の5点への対応です。
- 企業間取引
- 購入数量と購入金額
- 顧客別対応
- 見積・承認フローへの対応
- 決済方法
さらに、B2Bマーケットプレイスにおいては、バイヤー企業とサプライヤー企業の基幹システムへの接続が求められる事が多くなります。
- バイヤー企業とのシステム連携
- サプライヤー企業とのシステム連携
そのため、APIによる接続からバッチによる接続、パンチアウト連携、cXML (commerce eXtensible Markup Language)など、様々な外部とのシステム連携が求められます。
日本市場においても成長が期待されるB2Bマーケットプレイス
B2Bマーケットプレイスは、BtoC ECやB2Cマーケットプレイスとは異なる対応が必要ですが、日本においても今後の成長が期待できます。
これは、BtoC ECを自社で行うには、集客や運営のコストが高く、BtoBのビジネスをメインで行っている企業にとっては、BtoC ECやB2Cマーケットプレイスにはメリットがないからです。
そのため、今後は自社でB2Bマーケットプレイスを構築する会社や、B2Bマーケットプレイスへの出店を行う企業が益々増えて行くと思われます。
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