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Amazonの創設者ジェフ・ベゾスは、ECマーケットプレイスのストアホームページに広告を掲載する提案を受けた際、「これまで聞いた中で最も愚かなアイデアの一つだ」と答えました。
しかし、彼は最終的にこのアイデアを承認しました。現在、Amazon Advertising は2.34兆ドル(351兆円)近くの価値があり(Stockanalysis)、最も収益性の高いバーチャルマーケットプレイスサービスのひとつになっています。
これは、Amazonの「メトリクス文化」が機能していることを示しています。ベゾスがこのアイデアを承認したのは、それがデータによって証明されたからに他なりません。ECマーケットプレイスの構築を検討されているなら、データに基づいた意思決定が成長にどう影響するかを理解することが非常に重要です。
メトリクス、つまり主要業績評価指標(KPI)は、ECビジネスが目標を達成したかどうかを測定するのに役立ちます。
ECには無数のKPIが存在します。お客様のECマーケットプレイスの成功を正確に測るには、お客様の目標に基づいて一連の指標を形成するのが最善です。
今回は、CS-Cartの公式ブログの記事から How to Measure eCommerce Success: Key Online Marketplace Metrics(ECビジネスの成功を測る:主要なマーケットプレイス指標)をご紹介します。
オンライン・マーケットプレイスの指標とは?なぜ重要なのでしょうか?
オンライン・マーケットプレイスの指標とは、オンライン・マーケットプレイスのパフォーマンスと健全性を評価するために使用される定量的な指標のことです。これらのEC成功指標は、お客様のエンゲージメント、収益成長、顧客獲得コスト、顧客維持率など、マーケットプレイスの様々な側面について貴重な洞察を与えてくれます。
これらの指標を理解して分析することで、マーケットプレイス運営者は改善すべき領域を特定し、プラットフォーム全体のパフォーマンスを最適化できます。
たとえば、顧客獲得指標を追跡することで、お客様のマーケティング戦略が新規ユーザーをどれだけ効果的に引きつけているかを把握できます。同様に、収益成長の指標を監視することで、マーケットプレイスの財政状態について洞察が得られます。本質的に、マーケットプレイスの指標は、マーケットプレイスがビジネス目標を達成するための正しい軌道に乗っていることを確認するために不可欠です。これには、長期的な収益性を評価するためのLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の算出も含まれます。
マーケットプレイスの主要業績評価指標(KPI)を特定する方法
適切なマーケットプレイスKPIを特定することは、進捗状況を追跡し、ビジネス目標を達成するために不可欠です。従うべき手順は以下のとおりです。
- ビジネス要件を定義する:まず、マーケットプレイスで何を達成したいかを決めます。これには、収益の増加、お客様満足度の向上、ユーザー基盤の拡大といった目標が含まれます。
- 関連するメトリクスを特定する:ビジネス目標と合致し、マーケットプレイスのパフォーマンスについて洞察を与える指標を選択します。例えば、目標が収益増加であれば、関連する指標にはGMVや平均注文額が含まれるかもしれません。
- 目標とベンチマークを設定する:各指標について目標とベンチマークを設定し、進捗を測定し、改善すべき領域を特定します。これにより、お客様は目標に集中し、時間の経過とともにパフォーマンスを追跡できます。
- データを追跡し、分析する:各指標に関するデータを収集・分析し、マーケットプレイスのパフォーマンスについて洞察を得ます。Google Analyticsのようなツールを使用して、指標を監視し、トレンドを特定します。
- 調整と改善を行う:データの追跡と分析から得られた洞察に基づいて、KPIと目標を調整・改善します。これにより、お客様のKPIは関連性を保ち、進化するビジネス目標と整合性を維持します。
マーケットプレイスの指標の種類
マーケットプレイスの管理者が知っておくべきマーケットプレイスの指標にはいくつかの種類があります。
- 規模指標:これらはマーケットプレイスの規模と付加価値を測定する指標です。例としては、流通取引総額(GMV)、平均注文額(AOV)、総売上、収益指標などが挙げられます。例えばGMVは、マーケットプレイスを通じて販売された商品の総額を反映し、全体の規模と成長を明確に示します。
- シェイプ指標:これらの指標はマーケットプレイスのフラグメンテーション(断片化)またはコンセントレーション(集中度)を測定する指標です。このカテゴリーにおけるマーケットプレイスの主要指標には、買い手と売り手の比率、有効な買い手と売り手の数が含まれます。これらの指標は、マーケットプレイス全体での活動の分布を理解するのに役立ちます。
- 流動性指標:これらの指数は買い手と売り手をマッチングさせるマーケットプレイスの効率性を測定する指標です。重要な流動性指標には、取引件数、履行率、マッチング率などがあります。高い流動性は、買い手と出品者が簡単にお互いを見つけられる、うまく機能しているマーケットプレイスを示します。
- 獲得指数:これらの指数はユーザー獲得戦略の有効性を測定する指数です。このカテゴリーには、顧客獲得コスト(CAC)、出品者獲得コスト、コンバージョン率が含まれます。これらの指数を監視することで、マーケティング活動の費用対効果を評価し、お客様の獲得戦略を最適化できます。
- 維持とエンゲージメントの指数:これらの指数はユーザーのロイヤルティとエンゲージメントを測定する指数です。例としては、ユーザー・エンゲージメント率、リピート購入率、日次/月次有効ユーザーが挙げられます。高い維持率とエンゲージメント率は、満足し、ロイヤルティの高いお客様がリピート購入をする可能性が高いことを示します。
- ユニットエコノミクス指数:これらの指数はマーケットプレイスの財務健全性を測定する指数です。KPIには、貢献利益、投資収益率(ROI)、生涯価値(LTV)、LTV/CAC比率などあります。これらの指数は、お客様の顧客基盤の長期的な収益性を理解し、お客様の獲得努力が持続可能性を確保するのに役立ちます。
規模指数:お客様のビジネス成長と収益性
これらは、オンライン・ショッピング・マーケットプレイスにおけるECビジネスの成長を評価するための基本的なKPIです。主要な財務指標を測定することで、全体のパフォーマンスと成長の可能性に関する洞察を提供してくれます。
流通取引総額(GMV)
GMV(Gross Merchandise Value)は、流通取引総額に相当し、一定期間にオンラインのマーケットプレイスで販売された商品の金額を測定します。
これはECの複数出品者対応マーケットプレイスにとって不可欠なKPIであり、ビジネスの成長と、出品者によるバーチャル・ショッピング・モールの利用状況を測定するのに役立ちます。さらに、販売ファネルを理解することで、お客様が最初の興味から購入を完了するまでの誘導の効果を測定し、それによってコンバージョン率を改善できます。
GMVは、返金や返品を差し引いた後の送料は除外すべきですが、その他の費用を控除する前に計算されます。
これは時系列での比較指標として最も有用であり、月次および年次で追跡されます。
サービス系のオンライン・ショッピング・マーケットプレイスの場合、「契約済み」GMVと「完了済み」GMVの数値の違いを考慮に入れることが重要です。住宅販売プラットフォームの Opendoor のような一部のサービス系オンライン・ショッピング・モールでは、この2つの間に遅延が生じる可能性があり、「契約済み」の数値を計算すると不正確なGMVを引き起こす可能性があります。
総商品販売額(GMS)
GMVとは別に、プラットフォームで販売された商品の総額を測定するために使用される類似のKPIに、GMS(Gross Merchandise Sales:総商品販売額)があります。これらの用語はしばしば同じ意味で使用されますが、企業によってわずかな違いがある場合があります。GMS指標は、Etsyのようなマーケットプレイスを分析する際に特に重要であり、完了した取引の純額を反映します。
GMV と GMS
- GMV:特定の期間にプラットフォームを通じて販売されたすべての商品の総額を意味します。これには送料が含まれ、返金やキャンセルによる控除前の金額です。
- GMS:Etsyが特に使用しているもので、すべてのEtsyマーケットプレイスで販売された商品の金額を表し、送料とキャンセルされた取引に関連する返金は除きます。
eBayがGMVを使用する一方で、EtsyがGMSを使用するなど、同様の概念を測定するために異なる企業が異なるメトリクスを使用する場合があります。

Etsy GMS(オンラインマーケットプレイスにおけるGMVに相当する指標)

eBayの流通取引総額(GMV)の年間成長率
GMVもGMSも、企業の収益に直接結びつくものではありません。たとえば、2024年第2四半期において、eBayのGMVは184億ドル(2兆7,600億円)でしたが、実際の収益は25.7億ドル(3,855億円)でした。
収益
収益は、取引手数料、出品手数料、出品者サービスといった形で、ECの複数出品者対応マーケットプレイスが受け取る収入を測定する重要な指標です。
これは、バーチャル・ショッピング・モールのコンセプトの効率性を追跡し、収益の流れを分解してその構成要素を分析するのに役立ちます。

オンライン・ショッピング・マーケットプレイスの収益は、以下の2つの部分で構成されます。
- ECマーケットプレイスの取引手数料と出品手数料
- 出品者向けサービス(直接注文手続き、プロモーションリスト、配送ラベルなど)
この指標は、ECの複数出品者対応マーケットプレイス・プラットフォームが、収益の両部分の効率性を追跡するのに役立ちます。
収益の2番目の部分である出品者向けサービスについても、バーチャル・マーケットプレイス・ストアには詳細な指標があります。

これは、インターネット・マーケットプレイスの収益化モデルのコンセプトの効率性を追跡し、向上させるのに役立ちます。
出品者サービス(付加価値サービス)をより詳細に把握するには、ユーザーあたりの平均収益という指標を使用します。
また、収益はECの複数出品者対応マーケットプレイス全体の年次成長率を追跡するのにも役立ちます。
収益の計算方法はECマーケットプレイスによって異なります。こちら(英語)に正しい計算方法が記載されています。
純収益
純収益とは、返品、割引、その他の費用を差し引いた後に生み出される総収益です。たとえば、お客様のマーケットプレイスの総収益が100万ドル(1.5億円)でも、返品と割引で20万ドル(3,000万円)が発生した場合、純収益は80万ドル(1.2億円)になります。純収益を監視することで、マーケットプレイスの財務状況を明確に把握でき、多くの成功しているプラットフォームは継続した成長を目指しています。
平均収益
この指標は、定義された期間における総収益を取引数またはお客様数で割ることによって算出されます。これにより、1取引あたりの収益性に関する洞察が得られます。
価格設定戦略を理解する上で、1取引あたりの平均収益を計算することは非常に重要です。たとえば、お客様のマーケットプレイスの総売上額が10,000件の取引で50万ドル(7,500万円)であった場合、1取引あたりの平均収益は50ドル(7,500円)になります。一貫した、あるいは増加する平均収益を目指すことは不可欠であり、多くの成功したマーケットプレイスは、年間5〜10%の増加を目標としています。
総売上高
これらの指標は、マーケットプレイスの健全性と収益の可能性を評価するために不可欠です。
- 総売上額とは、特定の期間内にすべての売上から生み出された金額を指します。たとえば、マーケットプレイスが四半期に100万ドル(1.5億円)の売上を生み出した場合、この数字は成長を評価するためのベンチマークとして機能します。多くの成功したマーケットプレイスは、前年比で20〜30%の総売上額増加を目標としています。
- 総売上量は、販売された商品の総量を測定します。Amazon のようなマーケットプレイスは通常、毎日何百万件もの取引が行われます。小規模なマーケットプレイスの場合、健全な成長軌道に乗るためのベンチマークは、月に約1,000件の取引が目安となるでしょう。売上量を監視することは、トレンドを特定し、在庫を効果的に管理するのに役立ちます。
平均注文額(AOV)
これは、お客様が1回の注文ごとにどれだけお金を使っているか、つまりお客様ごとではなく注文ごとの売上を反映します。
この指標は、平均取引額と利益の増加を反映することで、お客様のバーチャル・マーケットプレイスの成長を把握するのに役立ちます。
さらに、お客様の行動に関する洞察を与えてくれます。
- お客様が複数の商品を購入しているかどうか
- ECの複数出品者対応マーケットプレイスで最も人気のある価格の商品は何か
- お客様が喜んでお金を払う量と頻度
AOVは、総収益を取引数で割ることにより、月次、週次、または日次で計算されます。
AOV = 総収益 ÷ 取引数
AOVを増やすことで、マーケティング投資収益率(ROMI)も自動的に増加します。
シェイプ指標:行動分布
これらの指標は、コンバージョンや購入など、ECマーケットプレイスの主要目標に直接関連するパフォーマンスを反映するものではなく、新しい市場カテゴリーを積極的に取り入れたり、バーチャル・ショッピング・モールのコンセプトを拡張させたりする際に有用です。このKPIは、買い手や売り手といった参加者間での行動の分布を関係者が理解するのに役立ちます。
供給側の発展:量的成長
マーケットプレイスの供給側における量的成長とは、プラットフォームに製品やサービスを出品するサプライヤーや出品者の数の増加を指します。この成長は、買い手が利用できる提供商品の多様性を拡大し、マーケットプレイス全体の価値提案を向上させるために不可欠です。量的成長を測定するには、以下の指標を追跡することを検討しましょう。
- 活動中のサプライヤー数:この指標は、マーケットプレイスに製品やサービスを出品しているサプライヤーの数を追跡します。活動しているサプライヤーの数を監視することで、お客様は供給側の規模を理解し、サプライヤーのエンゲージメントにおけるトレンドを特定できます。Etsyのように、活動している出品者の成長を測定するのが最適です(月間で活動しているユーザーの指標を使用)。

- サプライヤー成長率
- 出品数(サービス系マーケットプレイスの場合は、代わりに特定の時点での活動しているサプライヤー数をカウントします)
- 出品数の成長率
- ユーザーのチャーン(解約)率
- サプライヤー獲得率:この指標は、新しいサプライヤーを獲得する率を測定するもので、通常、月または四半期ごとに追加された新規サプライヤー数として表現されます。高いサプライヤー獲得率は、効果的なサプライヤー獲得戦略と、成長しているサプライヤー基盤を示します。
- サプライヤー維持率:この指数は、特定の期間にマーケットプレイスで活動している状態を維持しているサプライヤーの割合を追跡します。これは、商品やサービスを出品し続けているサプライヤー数を、期間開始時のサプライヤー総数で割ることによって計算されます。高い維持率は、サプライヤーがお客様のマーケットプレイスに価値を見出し、今後も利用し続ける可能性が高いことを示唆します。
これらの指標を追跡することで、マーケットプレイス運営者はプラットフォームの供給側の成長と発展について貴重な洞察を得ることができます。この情報は、サプライヤーの獲得と維持戦略を最適化するために利用でき、買い手のニーズを満たす強固で多様なサプライヤー基盤を確保します。
供給側の発展:質的成長
これらのKPIは、お客様のインターネット・マーケットプレイスのパフォーマンス成長を把握するだけでなく、その成長に何が影響しているかについての洞察も与えてくれます。これらは需要側にも適用可能です。
- ユーザー集中度(ホエール・カーブ):出品者数の数と一定期間に出品者が生み出すビジネスの割合。これはホエール・カーブ分析で測定されます。
最も成功している販売者の割合を追跡し、どの販売者タイプ、商品、サービスがバーチャル・マーケットプレイスの成長ドライバーであるかを特定するのに役立ちます。
- コホート分析:特定の時期(1週間前、1ヶ月前、1年前など)に獲得したユーザーグループごとの行動を追跡します。これにより、単なる流入数だけでなく、どのチャネルから来たユーザーが最も定着し、コンバージョンに至っているかを把握できます。

コホート分析に基づく指標がなければ、どのチャネルが最も流入を誘導しているかを追跡することしかできません。
需要側の発展:量的成長

購入者側の成長を測る指標も同様に重要です。
- 顧客総数とアクティブな購入者数
- 購入者成長率
- 解約率(チャーンレート)
需要側の発展:質的成長
- 購入者1人あたりの平均購入金額
- 購入者1人あたりの平均注文数
- 購入者1人あたりの平均注文増加率
- NPS(ネットプロモータースコア)指標と顧客フィードバックによる定期的な顧客満足度測定
- 顧客転換率
- リピート購入率

買い手と売り手の比率
買い手と売り手の比率は、プラットフォーム上の需給バランスを示します。健全なマーケットプレイスの一般的なベンチマークは、「出品者1人に対して購入者3人(比率3:1)」と言われています。
以下の計算式を用いて算出されます。
買い手と売り手の比率 = 買い手合計 ÷ 売り手合計
この比率はマーケットプレイスの種類によって異なります。例えばB2Bの場合、需給状況に応じて1.1〜1.6の範囲で変動します。もし300人の売り手がいるなら、少なくとも900人の買い手を確保することを目指しましょう。バランスの取れた比率を維持することで、売り手には十分な見込み客が確保され、売上と満足度の向上につながります。
流動性指数:取引効率性
マーケットプレイスの流動性は、売り手と買い手のマッチングがいかにスムーズに行われているかを示します。これはプラットフォームの拡張性とパフォーマンス維持能力を測る重要な指標です。
流動性
基本的な計算式は以下の通りです。
顧客流動性 = 一定期間の訪問数 ÷ 取引件数
KPIは、ECマーケットプレイスの業態によって測定方法は異なる場合があります。
Etsy では、月間販売総在庫のうち、実際に売れた割合です。 Airbnb では、毎晩予約される部屋の割合です。Uber では、特定の時間帯に実車中のドライバーの割合です。
したがって、あらゆるオンライン・ショッピング・マーケットプレイスの流動性で共通して追跡すべき基本的な指標としては以下が挙げられます。
- 取引成立にかかる所要時間
- 時間単位・日単位・月単位で購入される商品・サービスの割合
- 一定期間内に取引につながった出品リストの割合
マッチ率
マッチ率は、買い手のリクエストに対してどれだけ取引が成立したかという効率性を測定する指標です。買い手からのリクエストのうち、成功した取引に至った割合を示します。
マッチ率 = ( 成立した取引数 ÷ 購入者のリクエスト総数 ) × 100
この指標は、マーケットプレイスが買い手と売り手の取引をどの程度円滑にできているかを評価します。高いマッチ率は、マーケットプレイスが買い手のニーズを効果的に満たし、販売を促進していることを示します。
マッチ指標は、マーケットプレイスのパフォーマンス、ユーザー満足度、運営効率を評価する上で重要です。
フルフィルメント率(履行率)
この指数は、オンライン・ショッピング・マーケットプレイスで注文された商品やサービスが、約束通りに提供された割合を示します。
以下の計算式で算出されます。
フルフィルメント率(履行率) = 履行された注文数 ÷ 注文総数(拒否された注文を含むがキャンセルは除く)
もし、フルフィルメント率(履行率)が低い場合は、より詳細な指標を用いて原因を特定する必要があります。具体的には、履行失敗が最も頻繁に発生している特定の商品、サービス、サプライヤーがあるかどうかを確認します。
これらは取引が意図通りに完了することを保証する、流動性に極めて重要なB2BマーケットプレイスのKPIです。
契約遵守率は、合意された条件を順守した契約の割合を測定します。サプライヤーとの関係を維持しリスクを最小限に抑える上で重要です。例えば、組織は契約実施後特定の期間内に95%の遵守率を目標とすることがあります。
契約完了率は、契約条件に従って完全に履行された契約の割合を示します。
計算式は以下の通りです。
契約完了率=( 完了契約数 ÷ 総契約数 ) × 100
高い完了率は、効果的な契約管理の実践と期限遵守の証左となります。
獲得指標:成長戦略
獲得指標は、新規ユーザーをマーケットプレイスに呼び込むための戦略の効果を評価します。
顧客獲得コスト(CAC)
CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)は、有料顧客を1人獲得するためにかかった費用を示します。
単なるクリック数やページビュー(PV)といったソフトな成果だけでなく、収益も反映します。なぜなら、誰かをお客様に変えるという成果を測定するからです。
マーケティング予算を投入して、手例えば、PVを増やすために多額の予算を投じても、売上が1件しかなければ、その予算全額が1人の顧客獲得単価(CAC)となります。
そのため、マーケティング活動の成果を測るには、必ずCACを活用することが不可欠な理由です。
これは、次の式で計算されます
顧客獲得単価 = 顧客獲得に関連する総費用 ÷ 測定期間中の新規顧客総数
出品者獲得コスト
マーケットプレイス運営において、出品者(セラー)の獲得コストを把握することは予算編成に不可欠です。例えば、マーケットプレイスが新規出品者の獲得に3万円かかる場合、その出品者がもたらす収益がコストに見合うかを確認する必要があります。持続可能なマーケットプレイスのベンチマークとしては、出品者獲得コストは「各出品者から得られる平均収益の20%未満」に抑えることです。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率(CVR)は、訪問者総数のうち、購入、ニュースレターの登録、特定のCTA(コール・トゥ・アクション)のクリックなど、望ましい行動を完了したユーザーの割合を表します。
コンバージョン率を計算するには、次の式を使用します。
コンバージョン率 = ( コンバージョン数 ÷ 総訪問者数 ) × 100
たとえば、ECサイトが 1 か月に 1,000 人の訪問者を獲得し、50 件の売上を生み出した場合、コンバージョン率は5%になります。
販売ファネルの有効性は、お客様を最初の関心から購入完了まで導くため、コンバージョン率に大きな影響を与える可能性があります。
コンバージョン率が高いということは、ECサイトやマーケティング・キャンペーンが訪問者を効果的にお客様へと転換していることを意味します。そのため、マーケティング効果測定の評価、Webサイトデザインの最適化、ユーザー体験の向上が不可欠です。平均的なコンバージョン率は業界によって異なります。ECでは通常2%から5%ですが、B2Bサービスでは意思決定プロセスが長くなるため、 1%から3%の範囲となることがよくあります。リードジェネレーションでは、リードナーチャリングの効果に応じて、 5%から10%のコンバージョン率を達成できます。
コンバージョン率に影響を与える要因はいくつかあります。ECサイトのデザインとユーザビリティ、ターゲット顧客の理解、効果的なマーケティング戦略、競争力のある価格設定やプロモーションなどです。デジタルマーケティング活動からの投資収益率(ROI)を最大化し、最終的には全体的なパフォーマンスと収益性を向上させることを目指す企業にとって、これらの率をモニタリングし最適化することは非常に重要です。
ネットワーク成長率
これは、B2Bマーケットプレイスにおいて、買い手と売り手のネットワーク拡大速度を評価するB2Bマーケットプレイス特有の指標です。2つの異なる時点における活動中のユーザー(買い手または売り手)の数を比較することで計算できます。
ネットワーク成長率 = ( 期間終了時のアクティブユーザー数 − 期間開始時のアクティブユーザー数 ÷ 期間開始時のアクティブユーザー数 ) × 100
プラスの成長率は、取引量の増加とマーケットプレイスの活性化に不可欠な、買収戦略とマーケットプレイス拡大の取り組みが成功していることを示しています。この指標は、買い手と売り手の両方の拡大が長期的なスケーラビリティを推進するB2Bマーケットプレイスの成長を追跡するのに役立ちます。
維持とエンゲージメントの指標:ユーザーロイヤルティ
保持とエンゲージメントの指標は、ユーザーのロイヤルティとマーケットプレイス内の参加者の継続的なエンゲージメントを測定するために重要です。
ユーザーエンゲージメント
ユーザーエンゲージメントは、次のような指標で定量化できます。
- デイリー・アクティブユーザー(DAU):毎日プラットフォームを利用するユニークユーザー数。小規模なマーケットプレイスなら100〜500DAUが健全である基準ですが、eBayのような大規模プラットフォームでは、数百万DAUに達することもあります。DAUを追跡することで、ユーザーの関心とエンゲージメントレベルを評価するのに役立ちます
- リピート購入者比率:複数回購入する購入者の割合を測定し、お客様のロイヤルティの高さと満足度を示します。
ユーザーエンゲージメントの高さは、プラットフォーム上での積極的な相互作用を反映しており、ECのモニタリングを通して継続的に評価する必要があります。サイト滞在時間、閲覧ページ数、インタラクション率といった指標は非常に重要です。例えば、平均セッション時間が3~5分、1回の訪問あたり閲覧ページ数が5~7ページであれば、良好な基準値となります。エンゲージメントの高いユーザーは購入者へと転換する可能性が高く、この指標は成長にとって極めて重要です。マーケットプレイスSEOも、最適化されたコンテンツと商品一覧を通じて、プラットフォームが購入意欲の高いトラフィックを引き付けることで、この成長に貢献します。
販売ファネルを分析すると、プラットフォームがどれだけ効果的にユーザーを引きつけ、購入者に変えているかについての洞察が得られます。
顧客の獲得と維持
お客様とのコミュニケーションを測定するための指標は数多く存在します。クリック単価などの中間成果を追跡するのに役立つソフトKPIもありますが、以下は投資に見合った真の価値、購入、リピーターを獲得できたかどうかを示す基本的な指標です。
ユーザー維持率は、時間の経過とともにマーケットプレイスに継続的にアクセスしているユーザーの割合を測定します。良好なユーザー維持率のベンチマークは、最初の1か月後に40~60%程度です。例えば、新規ユーザーが1,000人いる場合、1か月後に少なくとも400~600人を維持することを目指します。高い維持率は、顧客満足度とロイヤルティを示しています。
顧客維持はユーザー維持に似ていますが、リピーター購入者に重点を置いています。
顧客維持率 = ( 期首顧客数 ÷ 期末顧客数 − 新規顧客数 ) × 100
高い維持率は、効果的なエンゲージメント戦略と顧客満足度を示唆しています。
成功しているマーケットプレイスでは、顧客維持率が30~50%であることが多いです。例えば、お客様が1,000人いる場合、 1年以内に300~500人の顧客が再来店し、追加購入をしてくれることを目指しましょう。ロイヤルティプログラムの導入は、この指標の向上に役立ちます。
GMV維持率
GMV維持率は、コホートベースの指標であり、時間の経過とともにお客様から維持された総流通取引総額の割合を測定します。お客様の支出維持を評価することで、マーケットプレイスやECプラットフォームの健全性と持続可能性に関する洞察を提供します。
GMV維持率は、特定の期間にリピーターによって生成されたGMVを、そのコホートの最初の期間の合計GMVで割ることによって計算されます。高いGMVリテンション率は、長期的な成長と収益性に不可欠な、安定した忠実な顧客基盤を意味します。
何人のお客様が戻ってくるかを測定するユーザー維持率とは異なり、GMV維持率は取引の価値に焦点を当てています。たとえば、10人のユーザーが1月に10,000ドルを費やし、5人が2月に7,500ドルを費やして戻ってきた場合、ユーザー維持率は50%ですが、GMV維持率は75%です。
マーケットプレイスでは、供給側のGMV維持率は需要側よりも高くなることが多く、最高クラスのマーケットプレイスでは12か月目までに保持率が100%を超える可能性があります。一方、平均的なマーケットプレイスは最初の3か月間で約80~95%を保持し、12か月目までに45~50%で安定します。製品の品質、顧客満足度、価格戦略、効果的なマーケティングなどの要因がGMV維持率に影響し、より正確な収益予測、成長機会の特定、収益性の向上、市場での競争優位性につながります。
ユニットエコノミクス指標:収益性分析
ユニットエコノミクス指標は、1取引や1顧客あたりの収益性を分析し、ビジネスの財務健全性を評価します。
投資収益率(ROI)
この指標は、マーケティング投資から何を得たか(収益性があるかどうかに関係なく)を示す指標です。
以下の式で計算されます。
ROI = ( 利益 – 投資額 ) ÷ 投資額 × 100
この指標を使用する場合、短期的な利益だけでなく長期的な利益も考慮する必要があります。
投資額は、自然検索流入に50万円、有料広告に5万円です。
獲得した顧客数:自然検索流入を通じて30件、有料広告を通じて10件。
両方の平均注文金額:1.5万円
したがって、自然検索流入からの ROI は次のようになります。
自然検索流入: (( 30 × 15,000 ) – 500,000 ) ÷ 500,000 × 100 = -10%(赤字)
有料広告からの ROIはは次のようになります。
有料広告: (( 10 × 15,000 ) – 50,000 ) ÷ 50,000 × 100 = 200%(黒字)
この指標は、有料広告の方が利益が大きいことを示しています。
ただし、ROI は常に別の指標である顧客生涯価値(Life Time Value:LTV)を考慮して計算する必要があります。
顧客生涯価値(Life Time Value:LTV)とは、お客様が長期にわたって生み出した売上高の合計です。
顧客生涯価値が ROI の結果に影響を与えるのは、自然検索流入と有料広告がもたらす流入の品質の違いです。
自然検索流入を通じて来たお客様は質が非常に高く、忠誠度も高いため、繰り返し購入する可能性が高くなります。
したがって、顧客生涯価値の指標では、次のデータを方程式に組み込むことができます。
自然検索流入からのクライアントの平均顧客生涯価値:100万円
有料広告からのクライアントの平均顧客生涯価値:9万円
この場合、長期的な利益も考慮すると、ROIは次のようになります。
自然検索流入からの ROI。
( 1,000,000 – 500,000 ) ÷ 500,000 × 100 = 100%
有料広告からの ROI。
(90,000 – 50,000) ÷ 50,000 × 100 = 80%
このように ROI を計算すると、得られる長期的な利益がより明確になります。
貢献利益
貢献利益は変動費を差し引いた後の収益性を表します。健全な貢献利益率は通常30~50%の範囲です。例えば、マーケットプレイスの売上高が7,500万円で変動費が3,750万円の場合、貢献利益率は50%になります。この利益率は、固定費をカバーし、収益性を達成するために不可欠な重要な指標です
まとめ
今回ご紹介したのは、オンライン・マーケットプレイスのパフォーマンスを正確に測定するための基本的な指標です。
しかし、多くの複数出品者対応ECマーケットプレイスは異なるKPIを採用しています。これらはオンラインモールの目標やコンセプトに基づいて形成されています。

- 国際GMV比率
- モバイル経由の訪問比率
- 活動中の売り手/活動中の買い手
- モバイル経由のGMB比率
- 流通取引総額(GMV)
- 上位小売カテゴリー
バーチャル・ショッピングモールは、対象ユーザーがモバイル端末で積極的に購入しているため、モバイル経由で獲得した流通取引総額の割合を測定しています。Etsyの例では、バーチャル・マーケットプレイス店舗のGMVの60%がモバイル購入によるものでした。
ケーススタディ:最初から適切なKPIを特定する

2019年に設立されたカスタム釣具マーケットプレイス「TackleTarts」は、成長段階に応じた適切な指標を特定するに成功をしました。
創業者は、まずMVP(実用最小限の商品)をリリースし、コンセプト検証と投資誘致のために「月間収益を0ポンドから100ポンドへ増やす」ことを初期の指標としました。
CS-Cart 国際版(公式) のカスタマイズは不可欠であり、出品者専用管理画面の使いやすさや決済システムの効率性を重視し、ユーザー体験を向上させました。
その後、マーケットプレイスの拡大に伴い、顧客獲得コスト(CAC)や平均注文額(AOV)といった指標に優先順位をシフトし、出品者とお客様との信頼関係を築きながら課題に対処しました。
わずか2〜3年で「TackleTarts」は、数千種類の商品と数百の出品者を獲得し、釣り業界における継続的な成功と成長に向けた体制を整えました。
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